比較

特定技能と技能実習の違い

名前が似ている2つの制度ですが、目的も運用も大きく異なります。比較軸ごとに違いを整理し、制度選択の判断材料を提供します。

最終更新日: 2026-04-01

Conclusion

先に結論

人手不足分野で即戦力を採用するなら特定技能、技能移転を通じた国際貢献が主目的なら技能実習が該当します。

2つの制度は目的が根本的に異なります。技能実習を単なる「安価な労働力の確保手段」として選ぶことは制度趣旨に反し、法的リスクにもつながります。制度目的を理解したうえで、自社の受入れ目的に合った制度を選んでください。

Comparison

主要比較表

8つの比較軸で制度の違いを一覧

比較軸 特定技能 技能実習
制度目的 人手不足分野における即戦力の確保 開発途上地域等への技能移転(国際貢献)
在留期間 1号: 通算5年 / 2号: 上限なし 1号: 1年 / 2号: 2年 / 3号: 2年(最長5年)
転職・転籍 同一分野内で転職可 原則不可
支援義務 受入企業に支援計画の実施義務(1号) 監理団体による監理が必要
監理団体 不要(登録支援機関への委託は任意) 必要(団体監理型の場合)
対象分野 16分野(2024年3月閣議決定) 90職種165作業
技能水準 試験合格または技能実習2号修了 入国時は要件なし
家族帯同 1号: 不可 / 2号: 可 不可

出典: 出入国在留管理庁 特定技能制度外国人技能実習機構

Detail

制度目的の違い

すべての違いはここから派生する

特定技能

人手不足分野における即戦力の確保

2019年4月創設。深刻な人手不足に対応するため、一定の専門性・技能を持つ外国人材の就労を認める制度です。

技能実習

開発途上地域等への技能移転による国際貢献

1993年創設(現行制度は2017年施行の技能実習法に基づく)。日本で修得した技能を母国の発展に活かすことが建前です。

この目的の違いが、転職の可否、支援体制、監理の仕組みなど制度全体の設計に波及しています。特定技能は「労働者」として位置づけられるのに対し、技能実習は「実習生」としての位置づけです。

Detail

転職・転籍の違い

企業にとっての定着リスクに直結する

特定技能

同一の特定産業分野内であれば転職可能

労働者としての権利が保護されています。企業側は定着施策(待遇改善、キャリアパスの提示など)が重要になります。

技能実習

原則として実習先の変更(転籍)は認められない

実習計画に基づくため、自由な転職はできません。実習実施者の倒産等やむを得ない事情がある場合は例外的に転籍が認められます。

Detail

支援義務と監理体制

受入れ後の運用負荷が異なる

特定技能(1号)

  • 受入企業に支援計画の作成・実施義務
  • 登録支援機関への委託は任意
  • 届出義務は委託しても受入企業に残る
  • 支援内容: 生活オリエンテーション、相談対応、日本語学習支援など

技能実習(団体監理型)

  • 監理団体が実習の監理を実施
  • 3か月に1回以上の監査義務
  • 技能実習計画の認定が必要
  • 入国後講習(原則1か月以上)の実施

Detail

コスト構造の違い

初期費用とランニングコストの構成が異なる

費目 特定技能 技能実習
初期費用 在留資格申請費用、渡航費等 送出機関費用、講習費、計画認定費等
月額費用 登録支援機関: 月2〜4万円程度 監理費: 月3〜5万円程度
傾向 初期費用が比較的低い 送出機関経由のため初期費用が高め

※ 金額は目安です。機関・分野・送出国により異なります。

Detail

対象分野の重なり

技能実習2号修了で特定技能への移行が可能な分野がある

重なりのある主な分野

介護、建設、食品製造、農業、漁業、素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業など

試験免除の条件

技能実習2号を良好に修了した場合、対応する特定技能分野であれば技能試験・日本語試験が免除されます。

注意点

すべての技能実習職種が特定技能の分野に対応しているわけではありません。移行を前提とする場合は、対応関係を事前に確認してください。

Supplement

育成就労との関係

技能実習制度は育成就労制度に移行予定

技能実習制度は育成就労制度に発展的に解消される予定です(2027年頃施行見込み)。

育成就労は「人材育成と人材確保」を目的とし、特定技能1号への移行を見据えた制度設計になっています。現時点で技能実習を新たに開始する場合は、制度移行期の取扱い(経過措置)を確認することをお勧めします。

育成就労と特定技能の違いを見る →

Decision

判断の指針

受入れ目的に合った制度を選ぶ

1

即戦力として現場に配置したい

特定技能を検討。試験合格者または技能実習2号修了者が対象。

2

技能移転を通じた国際貢献と人材育成を重視する

技能実習を検討。ただし制度趣旨を踏まえた実習計画が必要。

3

技能実習修了者を継続雇用したい

特定技能への移行を検討。対応分野であれば試験免除で移行可能。

4

育成就労の施行を見据えて長期的に計画したい

制度移行の最新情報を確認。経過措置の詳細は今後確定。

いずれの場合も、制度目的に合った受入れ体制を整えることが前提です。制度の選択を誤ると、法令違反や行政処分のリスクにつながります。

FAQ

よくある質問

技能実習2号を良好に修了した場合、対応する特定技能分野であれば試験免除で移行可能です。ただし、すべての技能実習職種が特定技能に対応しているわけではありません。
制度としては併用可能です。ただし受入れ人数枠や体制要件がそれぞれ異なるため、管理体制を確認してください。
育成就労制度への発展的解消が決まっています。施行時期(2027年頃見込み)や経過措置の詳細は今後確定します。
在留期間の上限がなくなり、家族帯同が可能になります。ただし2号の対象分野は限定されており、上位の技能試験に合格する必要があります。
一概には言えません。特定技能は送出機関を経由しないため初期費用が比較的低い傾向がありますが、登録支援機関への委託費や定着施策のコストを含めて総合的に比較する必要があります。

比較後の次アクションを確認する

制度の違いを確認したら、制度詳細だけでなく採用ガイドと費用ページで実務の進め方を確認できます。