業種別
外食業の外国人採用
外食業は留学生アルバイトと就労資格での正社員雇用が混在しやすい業種です。資格外活動の28時間制限、特定技能への切替、制度ごとの業務範囲の違いなど、外食業固有の論点を整理します。
Overview
この業種の概況
留学生アルバイト依存からの転換
外食業は慢性的な人手不足に直面しています。飲食店の欠員率は全産業平均を大きく上回り、特にチェーン店や深夜営業の店舗では人材確保が経営課題になっています。
こうした状況のなか、多くの飲食店が留学生アルバイトに労働力を依存してきました。しかし、留学生の資格外活動には週28時間の制限があり、フルタイム戦力としての活用には限界があります。オーバーワークが発覚した場合、企業側にも刑事罰のリスクがあります。
外食業は特定技能の対象16分野のひとつで、農林水産省が分野所管省庁です。2024年3月の閣議決定では、外食業分野の特定技能受入れ見込数が5年間で5万3,000人に設定されました。建設業のような分野固有の上乗せ要件はなく、共通要件で受入れが可能です。
Systems
使える制度の比較
外食業で検討される主な在留資格
| 項目 | 特定技能1号 | 資格外活動 | 技人国 | 特定活動46号 |
|---|---|---|---|---|
| 対象業務 | 調理、接客、店舗管理全般 | 制限なし(風俗営業除く) | 本部業務(メニュー開発、通訳等) | 日本語を用いる業務全般 |
| 就労時間 | フルタイム | 週28時間以内 | フルタイム | フルタイム |
| 在留期間 | 通算5年が上限 | 在学中のみ | 更新上限なし | 更新上限なし |
| 家族帯同 | 不可 | -- | 可 | 可 |
| 日本語要件 | N4以上 | なし | なし(実務上は必要) | N1 |
現場の調理・接客をフルタイムで任せたい場合は特定技能が主軸です。本部でのメニュー開発やマーケティング等の業務であれば技人国が該当しますが、現場の調理・接客との兼務はできません。
Requirements
特定技能「外食業務」の要件
試験・対象業務・受入企業の要件
外食業分野の特定技能は、技能測定試験と日本語試験に合格し、受入企業が協議会に加入することで受入れが可能になります。建設業のような分野固有の上乗せ要件はありません。
外食業技能測定試験
一般社団法人外国人食品産業技能評価機構(OTAFF)が実施する学科試験と実技試験です。衛生管理、飲食物調理、接客に関する知識と技能が問われます。
試験は国内外で実施されており、年間を通じて複数回の受験機会があります。合格率は公表回によって異なりますが、実務経験があれば十分に対応できる水準です。
日本語能力の要件
日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上の合格が必要です。外食業は接客を伴うため、実務上はN4以上の日本語力が求められる場面が多くなります。
対象業務
飲食物調理、接客、店舗管理の全般に従事できます。具体的には、食材の仕込み・加熱調理・盛り付け、配膳・レジ対応・予約管理、食材の発注・在庫管理、店舗の衛生管理などが含まれます。
デリバリー専門店での調理やテイクアウト商品の製造も対象です。ただし、風俗営業法に該当する店舗(バー、スナック等の接待飲食等営業)での就労は認められません。
雇用形態
直接雇用のみです。派遣形態での受入れは認められません。雇用契約は、日本人が従事する場合と同等以上の報酬であることが必要です。
食品産業特定技能協議会への加入
特定技能外国人を受け入れる企業は、受入れ開始後4か月以内に農林水産省が設置する食品産業特定技能協議会に加入する必要があります。入会費・年会費は無料です。
Switch
留学生アルバイトからの切替
外食業で最も多い採用パターン
外食業では、店舗でアルバイトとして働いている留学生を卒業後に特定技能で正社員化するケースが増えています。既に業務に慣れた人材を確保できるため、企業・外国人双方にメリットがあります。
切替の条件
外食業技能測定試験に合格していること。
日本語基礎テスト(JFT-Basic)またはJLPT N4以上に合格していること。
受入企業との直接雇用の雇用契約が締結されていること。
在留資格「留学」から「特定技能1号」への変更許可を受けること。
切替手続きの流れ
在学中に試験合格を目指す
技能測定試験と日本語試験は在学中に受験可能
雇用契約の締結
日本人と同等以上の報酬条件で直接雇用の契約を結ぶ
在留資格変更許可申請
出入国在留管理局に「留学」から「特定技能1号」への変更を申請
許可後にフルタイム就労開始
変更許可が出るまでは資格外活動の範囲を超えないこと
空白期間への対応
卒業後に在留資格変更の審査が完了するまでの間、在留期限が切れる場合があります。この場合、「特定活動(就職活動)」への変更を事前に行うか、変更申請中であれば在留期限後も一定期間は在留が認められます(特例期間)。ただし、特例期間中の就労は変更許可が出るまでできない点に注意が必要です。
Rules
資格外活動の28時間制限
留学生アルバイト雇用時の法的リスク
留学生が資格外活動の許可を得てアルバイトをする場合、就労時間は1週間あたり28時間以内に制限されます。この制限は外食業に限った話ではありませんが、シフト制の飲食店では超過しやすく、企業側のリスク管理が特に重要です。
28時間の計算方法
- どの曜日から起算しても連続する7日間で28時間以内
- 「月曜~日曜」の固定枠ではない
- 全ての就労先の合計で計算される
- 掛け持ちの場合も合算して28時間以内
長期休業期間の特例
- 学校が定める長期休業期間中に限り緩和
- 1日8時間、週40時間まで就労可能
- 学校の証明書で休業期間を確認する
- 休業期間外に戻ったら28時間制限に復帰
オーバーワークのリスク
留学生本人: 在留資格の取消し、退去強制、今後の在留資格申請への悪影響。特定技能への切替が認められなくなる可能性があります。
雇用企業: 不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われる可能性があります。法定刑は3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその併科です。
企業が取るべき管理措置
- 採用時に在留カードの在留資格・在留期限・資格外活動許可の有無を確認する
- シフト管理システムで週28時間を超えないようアラートを設定する
- 他社での就労時間を本人に申告させ、合算で管理する
- 長期休業期間の開始日・終了日を学校の証明書で確認し記録する
Future
育成就労への備え
2027年施行予定の新制度
育成就労は技能実習制度に代わる新しい在留資格で、2027年に施行されます。外食業も対象分野に含まれる見込みです。
外食業にとってこの制度は特に意味があります。従来の技能実習制度では外食業は対象分野に含まれていなかったため、「技能実習から特定技能への移行」という他分野で一般的なルートが使えませんでした。育成就労制度では外食業が対象に含まれれば、3年間の育成期間を経て特定技能1号水準の人材を育成する新たなルートが開かれます。
また、育成就労では転籍(本人意思による受入機関の変更)が一定の条件のもとで認められます。人材の定着に向けた職場環境の整備がより重要になります。
今から確認しておくべき点
- 外食業が育成就労の対象分野に正式に含まれるかの確定状況
- 監理支援機関(技能実習の監理団体に代わる機関)の認定要件
- 転籍の具体的な要件(就労期間の条件、同一分野内に限定されるか等)
- 特定技能への移行を前提とした育成計画の設計
Cost
採用コストと外部パートナー
特定技能外国人の採用にかかる費用
外食業は建設業のようなJAC関連の上乗せコストがないため、特定技能の共通的な費用構造になります。留学生からの切替であれば、渡航費や送出機関費用が不要な分、コストを抑えられます。
留学生からの切替は、既に日本に在住し業務経験もあるため、海外からの招聘と比べてコストと立ち上がりの両面で有利です。
FAQ
よくある質問
自社に合う制度と手続きを確認できます
外食業の概要を把握したら、特定技能の制度詳細や留学生採用ガイドで具体的な手順を確認します。