在留資格

身分系在留資格で働く外国人を雇用するときの基本

身分系在留資格は、就労ビザ(就労資格)とは異なり、職種や業務内容に制限なく働ける在留資格です。永住者、定住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等の4種類が該当します。

Overview

身分系在留資格とは

入管法上の2分類と身分系の位置づけ

日本の在留資格は大きく2つに分かれます。

入管法別表第一

活動に基づく在留資格

特定の活動(就労、留学など)を行うことを許可する。活動の範囲外のことはできない。

入管法別表第二

身分又は地位に基づく在留資格

日本人との親族関係や永住許可など、身分・地位に基づいて在留を許可する。活動の制限がない。

身分系在留資格は後者に該当します。「何の仕事をするか」ではなく「どういう身分・地位で日本にいるか」が在留の根拠であるため、日本人と同様にどの職種でも就労できます。

在留カードの「就労制限の有無」欄には「就労制限なし」と記載されます。

※「就労ビザ」は通称です。法令上は「就労が認められる在留資格」と呼びます。このページでは一般的な呼び方として「就労ビザ」も使いますが、身分系在留資格は就労ビザとは別の枠組みです。

Types

4種類の一覧と比較

該当する人、在留期間、特徴が異なる

就労制限なし 永住者
該当する人
法務大臣から永住の許可を受けた者(特別永住者を除く)
在留期間
無期限
特徴
在留期間の更新が不要。ただし在留カード自体には有効期限がある(16歳以上は交付日から7年間)。
雇用時の注意
在留期間の管理は不要ですが、在留カードの有効期限は確認してください。有効期限が切れた在留カードは身分証明書として使えません。
就労制限なし 日本人の配偶者等
該当する人
日本人の配偶者、日本人の実子(日本国外で出生した者を含む)、特別養子
在留期間
5年、3年、1年、6月のいずれか
特徴
配偶者が離婚・死別した場合、在留資格の変更が必要になる場合がある。「等」には実子と特別養子が含まれる。
雇用時の注意
離婚・死別で身分が変わると在留資格を失う可能性があります。在留期間の管理が必要です。
就労制限なし 永住者の配偶者等
該当する人
永住者・特別永住者の配偶者、日本で出生しその後引き続き在留している子
在留期間
5年、3年、1年、6月のいずれか
特徴
「日本人の配偶者等」と似た構造だが、配偶者が永住者・特別永住者である点が異なる。
雇用時の注意
日本人の配偶者等と同様、離婚・死別時の在留資格変更リスクがあります。在留期間の管理が必要です。
就労制限なし 定住者
該当する人
第三国定住難民、日系3世、中国残留邦人等、法務大臣が特別な理由を考慮して居住を認めた者
在留期間
5年、3年、1年、6月、または法務大臣が指定する期間(5年以内)
特徴
他の3種類と異なり、該当者の範囲が広い。告示定住と告示外定住がある。永住者とは異なり在留期間の定めがある。
雇用時の注意
永住者と混同しやすいですが、在留期間の管理が必要です。期限切れのまま就労させると不法就労助長罪に問われる可能性があります。

Reason

なぜ就労制限がないのか

在留の根拠が「活動」ではなく「身分」であるため

就労ビザ(技術・人文知識・国際業務、特定技能など)は、「この活動をするために日本にいる」という許可です。許可された活動の範囲でしか働けません。

身分系在留資格は、「この身分・地位があるから日本にいる」という許可です。活動ではなく身分が在留の根拠なので、どのような仕事にも就くことができます。

身分系在留資格を持つ人を雇う場合、業務内容と在留資格の適合性を確認する必要はありません。「就労ビザを別途取得してもらう」必要もありません。

Comparison

就労ビザとの違い

雇用側が気になる実務的な差

項目 身分系在留資格 就労ビザ(就労資格)
就労制限 なし(職種・業務内容の制限がない) あり(在留資格ごとに業務範囲が決まっている)
転職時の手続き 在留資格の変更は不要 業務内容が変わる場合、在留資格の変更が必要な場合がある
在留期間の更新 身分関係の継続が審査対象(永住者は更新不要) 就労先や業務内容が審査対象
在留カードの記載 「就労制限なし」 「在留資格に基づく就労活動のみ可」

Check

雇用時の確認ポイント

業務適合の確認は不要だが、以下は必要

  1. 1

    在留カードの在留資格名

    永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者のいずれかであることを確認します。

  2. 2

    就労制限の有無欄

    「就労制限なし」と記載されていることを確認します。

  3. 3

    在留期間(満了日)

    永住者以外は在留期間の定めがあります。期限切れは不法残留です。期限が近い場合は更新手続きの状況を確認します。

  4. 4

    在留カードの有効性

    在留カード等番号失効情報照会で番号が失効していないか確認します。

  5. 5

    在留カードのコピー保管

    表裏のコピーを取って保管します。後から在留資格名や期限を確認する際に必要です。

雇い入れ後はハローワークへの「外国人雇用状況の届出」が必要です(永住者を含むすべての外国人が対象。特別永住者は届出不要)。届出期限は雇入れ日の翌月末日までです。

  • 届出方法: ハローワーク窓口または外国人雇用状況届出システム(電子届出)
  • 届出を怠ると30万円以下の罰金の対象(雇用対策法第40条)
  • 離職時にも同様の届出が必要

Caution

よくある誤解

実務で間違いやすいポイント

身分系在留資格を持つ人には、就労のための在留資格変更は不要です。在留カードに「就労制限なし」と記載されていれば、どの職種でもそのまま雇用できます。追加のビザ申請は必要ありません。

永住者も在留カードを所持しています。在留期間は無期限ですが、在留カード自体には有効期限があり、7年ごとの更新が必要です。有効期限が切れた在留カードは身分証明として使えません。

定住者には在留期間の定めがあります(最長5年)。在留期間が切れれば在留資格を失います。永住者のように無期限ではないため、在留期間の管理が必要です。

身分系在留資格であっても、ハローワークへの外国人雇用状況の届出は必要です(特別永住者は届出不要)。届出を怠ると30万円以下の罰金の対象になります(雇用対策法第40条)。届出期限は雇入れ日の翌月末日までです。離職時にも届出が必要です。

FAQ

よくある質問

はい。身分系在留資格には就労制限がないため、正社員、パート、アルバイト、派遣など、どの雇用形態でも雇用できます。就労時間の制限もありません。

在留期間は無期限ですが、在留カード自体には有効期限があります。16歳以上の場合は交付日から7年間です。有効期限を過ぎた在留カードは更新が必要です。

在留期間の更新申請は本人が行いますが、企業として更新状況を確認しておくことは重要です。期限切れのまま就労させると不法就労助長罪に問われる可能性があります。

配偶者としての身分を失うため、在留資格の変更が必要になります。離婚後6か月以上、正当な理由なく該当する活動を行っていない場合、在留資格が取り消される可能性があります。雇用側が直接手続きする必要はありませんが、在留資格の変更状況を確認しておくのが望ましいです。

特別永住者は入管特例法に基づく地位で、主に旧植民地出身者とその子孫が対象です。永住者は入管法に基づく在留資格です。いずれも就労制限はありませんが、特別永住者は在留カードではなく「特別永住者証明書」を所持しており、外国人雇用状況の届出の対象外です。

はい。身分系在留資格には就労制限がないため、派遣元・派遣先を問わず、どの業務にも従事できます。外国人雇用状況の届出は派遣元事業者が行います。

失効情報照会は、在留カード番号が失効していないことを確認するものです。カードの記載内容(在留資格名、在留期間、就労制限の有無)が正しいかは別途確認が必要です。偽変造カードの可能性を排除するものではないため、ICチップ読取アプリケーションの併用が推奨されます。

身分系在留資格の確認ができたら次のステップへ

在留カードで就労制限なしを確認したら、雇入れ届出や他の在留資格との比較へ進めます。