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不法就労助長罪とは?企業が問われるケースと防止策

不法就労助長罪の定義・罰則・企業が問われる3つのパターンと、在留カード確認など今日からできる防止策を整理しました。

3年 以下の懲役
300万円 以下の罰金
5年 受入停止

最終更新日: 2026-04-02

Conclusion First

先に結論

不法就労助長罪の要点を3つに整理

不法就労助長罪(入管法73条の2)に該当すると、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。

企業が問われるのは、主に次の3パターンです。

1
不法滞在者を雇用した
2
資格外活動許可のない外国人を働かせた(留学生の週28時間超過を含む)
3
在留資格で認められていない業務に従事させた

「知らなかった」は免責事由になりません。確認を怠った時点で処罰の対象になり得ます。

Definition

不法就労助長罪とは

入管法73条の2の条文定義と3類型

条文上の定義

入管法73条の2は、不法就労活動をさせたり、不法就労のあっせんを行った者を処罰する規定です。雇用主だけでなく、あっせんした者も対象になります。

不法就労活動の3類型

類型 内容
不法入国・不法残留者の就労 在留資格がない、または在留期間を超過した外国人が働くこと
資格外活動 許可を受けずに在留資格の範囲外の活動で報酬を得ること
在留資格外の業務 在留資格で認められた活動の範囲を超えた業務に従事すること

両罰規定

法人の従業員が業務に関して不法就労助長行為を行った場合、行為者本人だけでなく、法人に対しても罰金刑が科されます。担当者個人の問題では済まず、企業としての責任になります。

Patterns

企業が問われる3つのパターン

実務で特に多い違反パターンを解説

1

不法滞在者を雇用する

在留資格がない、または在留期間を超過した外国人を雇用しているケースです。

典型的な事例

  • --在留カードの期限切れを見落としたまま雇用を続けた
  • --退職した外国人従業員が在留資格を失った後、別部署で再雇用した
  • --在留カードが偽造であることを確認しなかった
2

資格外活動許可なし・留学生の週28時間超過

「留学」や「家族滞在」の在留資格を持つ外国人が、資格外活動許可を得ずにアルバイトをしている場合が該当します。また、資格外活動許可を受けていても、週28時間の上限(長期休業期間中は1日8時間以内)を超えて勤務させた場合も違反になります。

典型的な事例

  • --資格外活動許可の有無を確認しないまま雇用した
  • --シフト管理が不十分で、複数店舗での合計勤務時間が週28時間を超えていた
3

在留資格で認められていない業務に就かせる

在留資格ごとに認められている活動範囲は決まっています。その範囲外の業務に就かせると不法就労助長罪に問われます。

典型的な事例

  • --「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持つ外国人に、単純労働を主たる業務として従事させた
  • --「特定技能1号(外食業)」の外国人を、許可されていない製造ラインに配置した

Important

「知らなかった」は通用しない

確認義務を怠れば過失でも処罰対象

入管法73条の2には、過失も処罰対象とする趣旨が含まれています。雇用主には外国人の在留資格や就労可否を確認する義務があり、確認を怠った場合、「不法就労者だと知らなかった」という主張は認められません。

具体的には、次のような状態は「確認義務を果たしていない」と判断されます。

  • --在留カードの原本を一度も確認していない
  • --コピーだけで確認を済ませ、偽造を見抜けなかった
  • --在留期限の管理をしていなかった
  • --資格外活動許可の有無を確認しなかった

Cases

実際の摘発パターン

業種別に見る典型的な摘発事例

飲食業

留学生アルバイトの勤務時間管理が不十分で、複数店舗での合計が週28時間を超過していたケース。シフト管理の甘さが原因になることが多い。

製造業

技能実習生や特定技能外国人を、在留資格で認められた作業内容と異なる工程に配置していたケース。業務内容の変更を届け出ずに配置転換を行った場合にも問題になる。

建設業

在留期間が切れた外国人労働者をそのまま現場に入れていたケース。下請構造が深く、元請が末端の労働者の在留状況を把握しきれない場合に発生しやすい。

人材派遣・請負

派遣先が在留資格の確認を派遣元に任せきりにし、実態として不法就労状態だったケース。派遣元・派遣先の双方が処罰対象になる。

Prevention

今日からできる防止策

基本的な確認作業の徹底が最大の防御策

1

在留カード原本の確認

採用時に在留カードの原本を必ず確認します。コピーや写真だけでは偽造を見抜けません。カード表面の在留資格、在留期間、就労制限の有無を目視で確認してください。

2

在留カード等番号失効情報照会

出入国在留管理庁が提供する失効情報照会サイトで、在留カード番号が失効していないかをオンラインで確認できます。採用時と在留期間更新時に必ず照会してください。

3

資格外活動許可の確認

「留学」「家族滞在」などの在留資格を持つ外国人を雇用する場合は、在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認します。許可がなければ就労させることはできません。

4

在留期限の管理

外国人従業員全員の在留期限を一覧で管理し、期限の2~3か月前にアラートが出る仕組みを作ります。期限切れに気づかず雇用を続けると、それだけで不法就労助長罪に該当し得ます。

5

勤務時間の管理

留学生など資格外活動で就労する外国人については、週28時間の上限を厳守する勤務管理が必要です。自社だけでなく、他社での勤務時間も含めた合計で判断される点に注意してください。本人への確認と記録を定期的に行いましょう。

6

業務内容と在留資格の整合性チェック

配置転換や業務変更を行う際は、変更後の業務が在留資格で認められた範囲内かを必ず確認します。判断に迷う場合は、行政書士や入管への事前相談を検討してください。

Impact

違反した場合の影響

刑事罰だけでは終わらない広範な影響

影響 内容
刑事罰 3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方
受入停止 技能実習・特定技能で不正行為と認定された場合、5年間は新規受入ができなくなる
助成金・補助金 労働関係助成金の支給要件を満たさなくなる場合がある
信用低下 取引先や金融機関からの信用が損なわれ、事業継続に影響する

特に技能実習や特定技能で外国人を受け入れている企業にとっては、5年間の受入停止は事業計画に直結する重大なリスクです。

Summary

まとめ

基本的な確認作業の徹底が企業を守る

不法就労助長罪は、「知らなかった」では免責されない厳しい規定です。企業が取るべき対策は、特別な仕組みではなく、在留カードの原本確認、失効情報照会、期限管理、勤務時間管理といった基本的な確認作業の徹底です。

外国人雇用を適正に行うことは、企業を守ることでもあります。まずは今いる外国人従業員の在留カードと就労状況を改めて確認するところから始めてください。

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