雇用管理

外国人労働者の退職・離職時に必要な届出と手続きまとめ

外国人労働者の退職時には、日本人と共通の手続きに加えて、入管法上の届出や帰国に伴う対応が必要です。漏れやすい手続きをチェックリスト形式で整理します。

届出先 ハローワーク
届出先 年金事務所・健保組合
確認事項 在留資格の扱い
帰国時 脱退一時金の案内

最終更新日: 2026-04-03

Conclusion

退職時の手続きは「日本人共通 + 外国人固有」の2層構造

漏れが多いのは外国人固有の部分

外国人労働者が退職する際の手続きは、大きく2つに分かれます。日本人と共通の社会保険・雇用保険の喪失手続きと、外国人固有のハローワーク届出・入管届出・帰国支援です。

日本人と共通の部分は既存の退職フローで対応できますが、外国人固有の手続きは見落とされやすく、届出漏れは法令違反につながります。以下のチェックリストで網羅的に確認してください。

Checklist

退職時に必要な届出・手続き一覧

期限と届出先を一覧で確認

手続き 届出先 期限 備考
外国人雇用状況届出(離職) ハローワーク 離職日の翌日から10日以内 雇用保険被保険者の場合は資格喪失届と兼用
雇用保険 被保険者資格喪失届 ハローワーク 離職日の翌日から10日以内 離職証明書の交付が必要な場合あり
健康保険・厚生年金 被保険者資格喪失届 年金事務所または健保組合 退職日の翌日から5日以内 健康保険証の回収が必要
住民税の特別徴収 異動届 市区町村 退職月の翌月10日まで 普通徴収への切替または一括徴収
所属機関に関する届出(入管) 出入国在留管理局 事由発生から14日以内 特定技能・高度専門職など届出義務のある在留資格の場合

上記は企業側の手続きです。外国人本人も入管への届出義務(活動機関からの離脱)があるため、退職時に本人へ案内することを推奨します。

Hello Work

ハローワークへの外国人雇用状況届出(離職時)

雇入れ時と同様に届出が必要

外国人労働者が離職した場合、事業主は外国人雇用状況届出を行う義務があります(労働施策総合推進法第28条)。届出を怠ったり虚偽の届出をした場合は、30万円以下の罰金の対象です。

届出方法の違い

雇用保険の被保険者の場合

雇用保険被保険者資格喪失届に在留カード番号等を記載して提出することで、外国人雇用状況届出を兼ねます。別途の届出は不要です。期限は離職日の翌日から10日以内。

雇用保険の被保険者でない場合

「外国人雇用状況届出書(様式第3号)」を管轄のハローワークに提出します。期限は離職日の翌月末日まで。電子申請(e-Gov)でも届出可能です。

届出には在留カード番号、在留資格、在留期間、国籍等の情報が必要です。退職前に在留カードのコピーを取得しておくと手続きがスムーズです。

Social Insurance

社会保険・雇用保険の喪失手続き

日本人と共通だが外国人固有の注意点あり

社会保険(健康保険・厚生年金保険)と雇用保険の喪失手続きは、基本的に日本人と同じです。詳細は外国人労働者の社会保険・労働保険の手続きガイドを参照してください。

健康保険・厚生年金保険

  • 資格喪失届を退職日の翌日から5日以内に年金事務所(または健保組合)へ提出
  • 健康保険証を回収して添付。回収できない場合は「健康保険被保険者証回収不能届」を提出
  • 帰国予定の場合、本人に脱退一時金の制度を案内する(後述)

雇用保険

  • 資格喪失届を離職日の翌日から10日以内にハローワークへ提出
  • 本人が転職する場合は離職票の交付が必要(日本人と同じ)
  • 帰国する場合でも、再入国の可能性があれば離職票を交付しておく

外国人が帰国後に失業給付を受給することはできません。ただし、日本国内で転職活動をする場合は在留資格の範囲内で失業給付の対象となります。

Resident Tax

住民税の特別徴収から普通徴収への切替

帰国する場合は未徴収分の一括徴収も検討

退職により給与からの特別徴収ができなくなるため、市区町村に「給与所得者異動届出書」を提出します。提出期限は退職月の翌月10日までです。

帰国する場合の対応

  • 帰国後は普通徴収での徴収が困難になるため、退職時の最終給与から未徴収分を一括徴収する方法が一般的
  • 1月1日から4月30日までに退職する場合、本人の申出がなくても一括徴収が義務
  • 5月1日から12月31日までに退職する場合は、本人の同意を得て一括徴収が可能
  • 一括徴収しない場合は、本人に納税管理人の届出を案内する

Visa Status

退職後の在留資格はどうなるか

転職する場合と帰国する場合で対応が異なる

転職する場合

退職しても在留資格が即座に取り消されるわけではありません。ただし、就労系の在留資格を持つ外国人が退職後、正当な理由なく3か月以上その在留資格に該当する活動を行わない場合、在留資格取消しの対象となります(入管法第22条の4)。

  • 転職先の業務内容が現在の在留資格の範囲内であれば、在留資格変更は不要(就労資格証明書の取得を推奨)
  • 業務内容が異なる場合は在留資格変更許可申請が必要
  • 本人は入管へ「契約機関に関する届出」(離脱・新たな契約)を14日以内に届出

帰国する場合

  • 在留カードは出国時に空港で返納(みなし再入国許可で出国する場合は返納不要)
  • 再入国予定がない場合は、市区町村への転出届の提出が必要
  • 特定技能の場合、受入れ機関は入管への届出義務がある(受入れ困難に係る届出)

企業側の入管届出義務

以下の在留資格で雇用していた場合、企業(所属機関)も入管への届出が必要です。事由発生日から14日以内に届出をします。

在留資格 届出の種類
高度専門職1号・2号 所属機関に関する届出
特定技能1号・2号 受入れ困難に係る届出など
技術・人文知識・国際業務 契約機関に関する届出(本人が届出)

Repatriation

帰国する場合の企業側サポート

法的義務ではないが案内すべき事項

脱退一時金の案内

日本の年金制度に6か月以上加入し、帰国後2年以内に請求すれば、厚生年金保険の脱退一時金を受け取れます。国民年金の脱退一時金もあります。

  • 請求は帰国後に日本年金機構へ郵送で行う
  • 請求期限は日本国内に住所を有しなくなった日から2年以内
  • 社会保障協定の締結国の場合、脱退一時金ではなく年金加入期間の通算を選べる場合がある
  • 退職時に請求書の様式と手続き方法を案内しておくとスムーズ

その他の案内事項

  • 転出届: 帰国前に市区町村へ転出届を提出するよう案内
  • 銀行口座: 帰国後も口座を維持する場合の手続き、脱退一時金の振込先として必要な場合あり
  • マイナンバーカード: 転出届の提出により返納(カードは国外転出後に失効)
  • 源泉徴収票: 退職時に交付。確定申告が必要な場合は納税管理人の選任を案内

特定技能1号の受入れ機関は、帰国旅費を確保し、必要に応じて帰国時の空港送迎等の支援を行う義務があります。詳しくは特定技能の支援義務を確認してください。

Summary

まとめ

退職時こそ手続き漏れに注意

外国人労働者の退職時は、ハローワークへの届出(離職日の翌日から10日以内)、社会保険の喪失届(5日以内)、住民税の異動届を確実に行ってください。在留資格によっては入管への届出義務もあります。

帰国する場合は、脱退一時金や転出届の案内など、本人が帰国後に困らないためのサポートも退職時に済ませておくことが重要です。

採用時の届出については「外国人を初めて雇用するときの届出・手続き一覧」を参照してください。

外国人雇用の手続きを確認する

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